【 今日のランチェスターヒント ランチェスター戦略の中心について その1 】
今回はランチェスター経営戦略の根幹について考えます。
ここが他の経営手法との違いであって、
この根幹を押えないままランチェスターの勉強をしても効果は出ません。
1.ランチェスター経営戦略の竹田陽一先生は、
基本テキストの「戦略名人」の中で『利益性の原則』という公式を書いています。
その公式は「粗利益(売上)−経費=利益」という公式です。
売上から経費を引いたものが利益など当たり前ではないかと思うかもしれませんが、
ランチェスター戦略では、粗利益を上げながら経費を下げて、
業界平均3倍から5倍の利益性の高い「一位効果」のある会社の実現を目指します。
通常は売上が上がると経費も一緒に上がって行きます。
広告宣伝費、人の雇用による人件費の上昇、新たな出店や設備投資、法定福利など、
事業規模の拡大に伴って経費が上昇するのは当然です。
この二律背反の中で利益性を業界平均3倍から5倍にするには、
粗利益においても業界平均の1.2倍から1.5倍以上は出さないと実現しません。
2.次にランチェスター法則そのものがあります。
ランチェスターには2つの法則があり、
第一法則 力=量×質
第二法則 力=量2(二乗)×質 という公式としています。
同じく基本テキストの中で企業間の真の力関係は、
ある局面に投入される経営力の二乗(じじょう)で決定すると書いてあり、
アウトプットされる結果である売上(粗利益)は、
第二法則下で競争している場合は、投入した経営力通りにはならないという法則です。
経営において市場があるという事は、基本的に企業間が競争している状態であり、
競争をしている場合は、ランチェスター法則下である第二法則の状態です。
各企業が市場に投入する営業力、商品力、販売促進力などの量の二乗を互いに掛け合いますので、
商品や販売の仕方が同質化している場合、上位企業から二乗作用という圧力を受け、
投入した経営力が、経営力どおりに売上に反映されないという結果になります。
既に何かの分野で市場シェア一位を持っている企業は、
そのシェア一位の売り上げがもたらす潤沢な資金力を背景に、
常に二位以下に「二乗作用」という圧力をかけ続けることができますので、
市場に投入した経営力の何倍も売上(粗利益)を上げる事ができます。
一位に利益が集中する「一位利益集中の原則」とはこのことであり、
売上(粗利益)を上げながら経費が一定レベルで収まり、利益性が向上するという、
二律背反をクリアする結果に繋がります。
反対に上位企業から二乗作用という圧力を受け続ける下位企業は、
市場に投入した経営力どおりに売上に反映されないという結果になります。
そこで上位からの圧力を受けないために「差別化」をして、
「同じ戦い方としない」経営戦略が必要という事になります。
この二乗作用の活用こそがランチェスター戦略の中心の中心です。
※このテーマは次回「その2」に続きます。