【 今日のランチェスターヒント 地域の重心と北陸新幹線 】
地域戦略を考える上で欠かせないのが「重力」との関係です。
地域には重力というものがあります。
基本的には人口の多いところや交通の便利の良いところが、
「重力の中心」となり、そこに力が集中する傾向があります。
この重力に逆らって動いても効果性はかなり薄く、
重力、つまり「人の流れ」などを良く理解して活用した方が、
自社の地域戦略や営業活動に有利に働きます。
この重力にも「ライフサイクル」というものがあります。
その原因になるものに、駅周辺の開発や交通網の発達があります。
昨年北陸新幹線が金沢まで延伸開通しました。
それまで東京−金沢間は最短で3時間47分かかっていた所要時間が、
新幹線の開通で最短2時間28分まで短縮しました。
その結果、東京方面から富山、金沢に向かう観光客が増加、
今まで東海道新幹線から名古屋に出て、
名古屋駅から「特急しらさぎ号」に乗り換え金沢に向かう人は激減しました。
また金沢は北陸の小京都と呼ばれるほど風情のある街並みと、
加賀百万石が育んだ伝統美が「京都と同質化」するところがあり、
京都は混むから金沢に行く、という観光客も増えたようです。
駅の再開発では、札幌、名古屋、福岡のように、
JRの駅上に大規模百貨店が出来た影響で、
それまでの街の中心の繁華街の百貨店に足を運んでいた客の流れが、
駅上の百貨店に流れ、地域の百貨店シェアが変わるという現象もおきました。
その影響で地元老舗の百貨店が閉店に追い込まれた例もあります。
これは都市周辺の沿線地域の重力を一気に集めることのできる、
JRのターミナル駅の「重力効果」も大きいと思います。
気を付けてみると様々な重力事例があると思います。
目を配って現象から原因を読み取り、
自らの事業に活かして行きたいと思います。
※ それぞれ
札幌:JR札幌駅の大丸出店ですすきのの老舗「丸井今井」経営破たん
「ロビンソン」「札幌西武」が閉店に追い込まれる。
名古屋:JR名古屋駅のJR高島屋が業績好調。
80年以上、名古屋地区シェア一位の座を松坂屋から奪う。
福岡: 博多駅上の「JR博多シティ」に博多阪急が開業。
福岡中心繁華街の老舗「岩田屋三越」と流通対決状態。